薄い淡い空/岡崎師
ほら、切り開く羽音の中で目覚めた、
液体の白さに目が眩む/
月を目掛けて飛ぶ蛍火に
歪んだ窓辺に移る信実とはかけ離れて
少しの眩暈を憶えられた
陽炎にふるえる鋭角な月よ
穏やかに誓った涙の声で
船と共に月に沈んだ
鉄の指を曲げて左目を隠して
太陽を目掛けて風を承けた日の想い出は
静か静かの海へと還り、底に佇む感傷とに
ぼくに伝えた言葉を刻んだ
物陰に隠れた暗殺者の海は
水面に向かってナイフを突き翳して
聞き覚えのある音楽が晒され
今日も笑わないきみの街が
空を盾にして、笑った
薄く、暴かれる日々の元で
きみの名前を教えて欲しい
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