喫茶店にて/八男(はちおとこ)
白いワンピースは洗濯ものになって
草原を漂っている
小鳥たちは鳴きちぎって
草の先をピンと張らせている
あいつの口は買えないものが買えなくて
買い方もわからなくて ただ窓を怒号で叩いている
あの店内で流している曲のタイトルは
全て「生ビール」だと思って聞いている奴
魚は生臭い
生臭さが聞こえない所へ行きたい
宇宙のどこもかしこも 生臭い
焼き散らすしかないんだと
くどくど親戚のおじさんはおんなじことばかり
樽を転がして遊んでいる子供
ヤマザクラは気球になるまで散らない
愛していると一万回言っても本物にならない
それはいつまでたって
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