叫ぶ/葛西曹達
正直者が馬鹿見る時代に
素直に腹の底から叫ぶこと
すでに凝り固まった頭には
これほど難しいことはなく
これほど恥ずかしいことはなく
これほど悩ましいことはなく
これほど逃げたいことはない
心の底から響いて
僕だけに聞こえる微かな声
応えることができなくて
心は暴れ放題
そして叫ぶ
待ってくれ、と
どこにも行かないでくれ、と
必要とされたい、と
愛されたい、と
その声が
確かに響いたか
確かに聞こえるか
確かに届いているか
確かに受け取られたか
不安で不安で仕方がない
無駄なことをしたかもしれない
だけど、今の僕には
きっと必要だったんだ
馬鹿を見ても構わない
素直であることを
まっすぐであることを
心に正直であることを
自分に嘘をつかないことを
約束しよう
守れるかな
守れるかな
守れなくなりそうなら
ここにまた帰ってきて
見つめなおすんだ
聞こえたかい
僕の心よ
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