午後の旅/番田 
 
てしまってもいいと思わされた。疲れているのかもしれない。疲労困憊だったが、手も足も出ないとはこのようなことだろうか。どこかの街角を歩くようにして、屋根へと掲げられた看板を眺めた。

赤や黄色や白や緑。通り過ぎていっては、見つめることの繰り返し。そこにサーカスの一団が現れて、様々な曲芸を披露しだす。チケットを配り、ここからはお金が必要だよと、子供から金をせしめていく。外人も金に困っているのだなと、私にも、思う。日曜日が終わっていくのだと思った。家などに、一人でいれば、こんなふうに思うこともなかったであろう。疲れているのかもしれない。それとも、何か食べ物でも食べたいのだろうか。私は疲れているのかもしれなかったー。海外の、車窓を流れる、いくつかの電車からの景色が浮かぶ。あれは、緑や、茶褐色だ。たぶん、牛がいたり、麦畑があったりするのだろう。電車が、本当に滑らかになって景色へと流れたものだった。私はつぶやいている。もう一度。あのときにー、帰れたなら、と。

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