午後の旅/番田
私は何もかも見失っているのかもしれない。私として書くことのその意味を。そうして流れていくのかもしれない。海に平らな青さを見つめている。私のそこに死を恐れる、私とは何なのかと自分自身が不安になったりした。すると波が護岸を小さく叩いた。私は生きていることなどどうでも良くなった。風の匂いの、誰かの事を思い浮かべる。体の中に分解するかもしれないと、怖くなって思わず、床にしゃがみこんだ。小さな蟻は、そこを歩いていく。苦しみというやつなのかと、そうして、私も思った。何にもないのだろう感情などすぐにどこかに行ってしまえばいい。朝起きて、歯を磨いて歩き出すことの繰り返しの毎日だった。本当に何もかもどうなってし
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