目に見える音/朧月
 
神様が
お前にはいらないだろうから と
私から音を奪われるそうだ

今は半分
そして少しづつ

私から音はなくされる

心配しなくとも
音の記憶など はじめからないのだから
忘れるという不安はないけれど

音が無い私の綴る文字には
リズムがあるのだろうか
それが心配
おはよう も さようなら も
きこえた言葉を頼りに
紡ぎだす文字はこの先には
現れるだろうか

だれも知らないこの情報は
私の手によって
伝えられる

詩集という絵はこれからの私の
楽譜になる


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