薔薇園/
塔野夏子
ふたり歩む小径にも
ふたりくぐるアーチにも
薔薇たちは咲き誇り 香りはあふれ
胸の想いも 互いの声音や眼差しも
薔薇の魔法を帯びて かなしいほど甘やかに染まり
この園がいっそ迷宮と化せばいいと
ふたり囚えられてしまえばいいと
夢のように薔薇たちは咲きめぐり
ふたりは園の奥 秘密めいた場所でしずかに立ちどまる
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