分裂/デラシネ
 
空が手招いて、大地が手招いて、 引きちぎれ、ぶっとんじまった私は、
私は私は私は・・・と口をぱくぱくさせながら 、
「お前は誰?」と、やけに希薄な空に問いかける。
言語は共通ではなく、私に見える空は共通ではなく、
私は私でもなく、あなたはあなたでもない。
そんなありきたりの混乱が、やけに悲しくなって、
「信じられるものは愛せるものはないか」と、隣の人の目を覗き込む 。
映し出された顔が、よく似ているな、と、鏡の世界に迷い込み、
私しかいない、誰もいない、寒気の妄想にかられながら 、
「世界はひとつ 愛なのです」 と、愛の意味すらわからなくなった頭に、
嘲笑のような訓示
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