街並み/黒木みーあ
 
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  反射
 

手を翳す
六月の太陽に腕が焼けていく

街並みを平らに
人指しゆびでなぞった跡を
わたしたちは
歩きはじめる

昨日、降った雨は
今日を濡らして
溢れかえる
水溜りの中のあなたが
弾けて ゆれた

走り去る
白いワゴン車
その後姿を追うように
解れていく
六月のわたしたち



  散光


斑模様の
空の向こうに
いつかわたし
行ってみたい

散っていく
若草の芽が
風と分かれて
そこここで
花を咲かせていた

野へ
歩いていく足裏の
温かさはどこか
懐かしい

反射 していく
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