だけれどぼくらは/黒川排除 (oldsoup)
 
暗号電文を流すのはやめてくださいという文章が郵送で届く。どういうことか問いつめると何もしてないと言う。ぼくらはキャッチボールをしに外へ出る。遠い異国から輸入されてきたいくつかの異なる言語圏の文字で書かれた書物がとても暗い未来を描いているのを見てぼくらは悲しい気持ちになる。本屋を避けて歩く。マンホールが外してある。落ちる。ははははもう未来に来てしまったのか──ははははもう未来に来てしまったのか。こだまを新たな友にぼくは下水のような未来をうろつく。それにしても流すのをやめれば良かったのかそれとも流すのをはやくすれば良かったのかあの文章自体がそもそも暗号めいているなと考えるちょっと前に大量の水が後方から体験したことの無いような振動と共に迫ってきてはやめに流されるぼくのかたわらを道に迷った郵便局員が肩からこぎれいな袋を下げて逆の方向へ歩いていく。

それから先のことも覚えている。水道管はまだ一滴の水をこらえている。

彼は彼のままで左に曲がる。

彼女は彼女の方法で。

ぼくはまっぷたつに。
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