滝業/森の猫
紫色になっている
あたしは
キモチいいかな
って感じだった
皮下脂肪の勝利だ
宮司さんに習って
脚
腰
頭
と 3回滝に打たれる
えいっ! えいっ!えいっ!
と 皆 声にならない声で叫ぶ
最後に頭から
滝に打たれたときは
ゴムサンダルをはいた
足が
滝つぼに吸い込まれる
ように よろけた
だが
冷たいが
爽快な気分だ
やりきった感じ
宮司さんからは
滝まで歩くのが
やっとだから
止めとくように注意されていたが
ここまで 来たのに止める
気など さらさらなかった
男性陣は
皆 身体ごとぶるぶる
震えていた
わりと 平気だったのは
あたしだけ
帰りの山道は遅れながらも
あまり辛くなかった
滝業は終わった
自然を楽しむ余裕は
なかった
やはり
業だ
なにか
ココロの奥で
ふっきれたものが
あった
滝は冷たさより
上から落ちてくる
圧力のほうが
記憶に残っている
また
挑戦するか
否かは
体力のみだ
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