別居婚志願/森の猫
り 兄
兄はいつも
あたしの好きなものを
もっていってしまう
好きなように
生きても 母から文句を
聞いたことがない
聞くの嫁のことばかり
あたしには
別れるなと
再三 口うるさく
言い含めてきた 母
すんなりと兄の
別居婚を承諾した
ショックだ
母がしあわせなら
それでいいが
あたしの
帰るところは
もう なくなった
母名義の家を
譲るとまで
言われていたのに
欝で働けない
あたしは
妥協案で
家庭内別居を選んだ
リビングの狭い
都内のマンションは
息が詰まる
あと 何年で年金の
掛け金はおわるのだろう
それまで待つか
出るか
6畳の和室が
唯一 手足を伸ばせる
あたしの空間
断じて
志願
別居婚
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