アリゾナ/salco
思い出の場所など私は要らない
そんなものは核弾頭の餌食にでもしてしまえ
思い出の場所には誰もいない
大地に在るのは私の影法師だけ
雑草と風だけ
足下には消滅した時間の残骸が
捨てられた土産物のように散らばっているだけ
誰がこんなゴミを拾うものか
手を伸ばせばいつでも触れた人々は
地中深くに埋め立てられて
私には叫びの捨て場も無い
何故私は処刑を免れているのか
判らぬまま生きている
けれど罰は受けているだろう?
胸に巣食った悲哀だけが現実だ
その痛みは
いつになったら老いぼれてくれるのだ?
消えるということ
消え得ぬこと
御巣鷹山に拓いた山道を毎
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