金木犀 零れる/
鵜飼千代子
ぱらぱらと降りそそぐ
オレンジ色の十字星 / ジュウジボシ
軽やかに土を跳ね
思い思いの居場所に
身を委ねる
ただ1枚のビーズ刺繍を
土に施す奔放さは
秋を知らせた頃の自己主張を
一時の間に淡い残り香へと
変えていて
近い冬と遠い春への道程を
解き放たれていた夏の心に
覚悟させる
次に沈丁花の濃い香りが
春を知らせに訪れるまで
じっと 耐えよと
言伝ながら
必ず
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