月まで昇る/
山岸美香
その空はいつも、
混じりけのない深い夜の暗闇で
白くて大きい雲を抜ければ
てっぺんのいちばんいちばん高い場所に
小さな黄色く輝く月が見えた。
あれは中々良い色をしてて
出来れば自分のものにしたいと思う
頑張って自転車を漕げば、のぼれるはず
そう信じて、いつもせっせと空を駆ける。
届かないんだなあ
届かせたいんだなあ
そうやって月まで昇りたいんです、
自分のものにしたいんです、いつも
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