分娩室/
草野春心
きみの部屋は
病室のような匂いがした
八月も十二月も
おなじような匂いがした
気の遠くなるほどたくさんの
交わりの匂いがした
病室の匂いがした
だれか髪の長い女が
たったいま分娩を終えたような
うんざりしてぼくはきみを脱がせた
ぼくではないだれかと
やがてきみは交わるだろう
そしてみにくく孕むのだろう
したり顔で
「そんなもの、野菜室の
ラップに包んだキャベツと同じさ。」
「母親になる資格がきみにあるのかい?
生まれてくる資格が
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