木漏れ日カメラ/ベンジャミン
レンズの先
逆光が眩しかった
それ以上に、ああそうだ
季節の躍動感が眩しかった
シャッターをきるようにして
日々がめくられてゆくなら
その少しの変化を刻んで
残してゆこう
刹那は
そうやって記憶になる
光は線ではなく
たとえば木々の隙間を
埋めつくすほどの集積だ
過去という時空から放たれたものが
今こうして私をつらぬいている
それがやさしい木漏れ日で
どんなにあたたかでも
痛いほどの感動だ
手のひらをかざして
そんな林道を歩いてゆく
光と影を交互に感じながら
私はそれを言葉にすることを忘れ
ただ夢中になって
光と影が交互にすり抜けてゆく体に
自分が生きていることを感じていた
戻る 編 削 Point(2)