木漏れ日カメラ/ベンジャミン
 
レンズの先
逆光が眩しかった
それ以上に、ああそうだ
季節の躍動感が眩しかった
シャッターをきるようにして
日々がめくられてゆくなら
その少しの変化を刻んで
残してゆこう

刹那は
そうやって記憶になる

光は線ではなく
たとえば木々の隙間を
埋めつくすほどの集積だ
過去という時空から放たれたものが
今こうして私をつらぬいている
それがやさしい木漏れ日で
どんなにあたたかでも
痛いほどの感動だ

手のひらをかざして
そんな林道を歩いてゆく

光と影を交互に感じながら
私はそれを言葉にすることを忘れ

ただ夢中になって

光と影が交互にすり抜けてゆく体に
自分が生きていることを感じていた


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