木漏れ日カメラ/木屋 亞万
日曜日に朝から起きているときは
誰かのために生きているときだ
カメラを首から提げて、僕は君にぶら下がっている
今日の京都は余所行きの顔
君も1時間級の化粧で、休日用の匂い
社会と休戦中の君は、僕の影から髪をぎゅっと掴んで、ぐいぐいと引っ張っていく
僕はイテテとその遊びに乗る
十字路の真ん中でふと立ち止まり、カメラを構える
こちらを見ていないひととき
カメラに気づかれたときに、もうシャッターは切られている
心のなかの腐りかけた水分をすこし新鮮なものに変えた人たちで溢れる街
あみだくじの線より濃密にすれ違う人々に、ドラマも出会いも訪れない
袖を触れ合う人が多すぎ
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