いのちのリレー/ベンジャミン
 

 にんまりしていてこわいのだが)



   ※


亡くなった祖母の話をする母さんが
故郷の景色に重ねて窓の外を見ている

まったく違う景色に見ているのは
母さんが祖母を母さんと呼んでいた頃の
自分なのかもしれないと背中に見る僕は
母さんが見ている窓の外を懐かしく見る

小さい頃
母さんに似ていると言われるのが嫌だった
でもそんな頃はもう過ぎて

僕は
姉と姉の子供と母さんを見て
自分を映した窓を眺めて思う

パソコンで「いのち」と入力するとき
変換キーを押すのをためらう

そんな簡単なものではないと

きっと
今だから思えるのだろう}
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