お花茶屋のひと/恋月 ぴの
水公園には幼い我が子を抱いた母親の姿を見かけた
数週間連絡が途絶えてしまっているらしい
遠い親戚に長男の安否を確かめて欲しいと頼まれたとかで
ひとりで行って来ればと突き放してはみたものの
ふたりの方が何かと安心だからさ
彼の真顔と夕食おごってくれる約束に付き添い役を引き受けた
アパートの玄関先には管理会社のひとが既に待っていて
彼の差し出した免許証で簡単な身元確認と挨拶交わし部屋へ向かう
こちらの部屋ですけどなかに入ってみますか
メーターボックスで確認すれば電気メーターはゆっくりながらも回っていて
ライフラインは途絶えていないのが確認できた
今にして思
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