雨/
草野春心
ぼくはいつか、
ひとを殺すだろう。
五月の雨のざぶざぶ降る、
世界の中心で。
かなしくて、
くやしくて、
憎しみのようにふくらんだ
きみの腹を蹴った。
何度も……。
ぼくの世界が、
排水溝に吸いこまれ
ごぽごぽと消えていったら……
こんなにたくさん
生きてきたことを、
許して。
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