One and only life./瀬崎 虎彦
おいもとめてうしなう
やさきのせつなさは
かなしみとともに
じんせいをまだらに
いろどっていくりぼん
車を止めて僕はタバコを吸った。少しだけ吸って、火を消した。こんなに生産的でない毎日は、逆に貴重だなと思う。売れない試料を積んだハッチバックは、後輪が少し沈んでいる。鉱物が腐らなくて本当によかった。恋人をデートに誘うにも事欠く愛車は、しかし恋人のない僕には十分愉しい、そして心を許せる相棒で、来月に迫った車検のことをふと思い出して憂鬱になるくらい好きだ。
自動車と音響工学は相性がいい。ハーマン・カードンだのボーズだの、いろいろなメーカーのいろいろな車に、いろいろなサウンドシステムが
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