旗振らば/生田
13574! と呼ばれた男性は平等とは何かを考えていた。戦争は悪だと父に教えられ、母には悪いことはしてはいけませんと教えられた。0と1との配列に裁かれていく中で、私は罪を犯しましたが、悪いことはしませんでした。悪いことは、決して。
「はじめまして、3990237815。私は、20871 いや、山田太郎です。あぁ、そんなに驚かないでくださいよ、あなたに撃たれる覚悟は出来ています。此処にきて罪を重ねるのも、あなたに法的権限の行使をさせるのも申し訳ないと思う。でも、山田太郎として死にたいのですよ、だから」
完全な平和に百の白旗が掲げられ、完全な平等に億の反旗がしまいこまれた昼下がり。正しさに焼かれた数十の旗のために半旗を掲げ、その下で莨を喫みて、老人は順番を待つ。
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