旗振らば/生田
「はじめまして、地球民ナンバー3990237815です。あなたは何番ですか」
教壇の上で老人は、心とは何処にある、と黒板に標した。少年は手を上げ、教師の呼ぶ声を待たず立ち上がり、コブシで自分の胸を一打する。老人は薄く笑いワシの心は此処だ、と軽く禿頭を叩く。現教育制度廃止による落日に、最後の放課後で。
何と戦っているのか分からないけれど、青年はピカピカに光る光線銃を握り締めていた。隣では頭のない、たぶん仲間だった人が腰掛けている。自分のナンバーを口ずさみ、青年はクレーターから飛び出す。地球と比べて六分の一の重力の中を駆け抜ける。
罪人徴用制度発布に伴い、ナンバー2087113
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