あなたの声、ぼくの音/15フィールズ
 
バスタブに沈むさみしさはやはりぼくの唇のふるえと共鳴する





今日も暗色に温もりのかたちを教えてもらいながら眠ることになるだろう
この手で歌うことに慣れたぼくは
いつもそれを不協和音で奏でる
そのときに思うことは
あなたの声帯を奪いたいということ





(あなたは知らないでしょうね。ぼくが出かけるときにはいつもスーツの内ポケットに、あなたの乳歯を入れていることを





ぼくもあなたも
くらげみたいにかたまってしまえばいいのに
混じり合って
緩やかにとけあってかたまって
まぶたの内側で世界をつくるんだ
そしてこのバスタブに
沈んで
[次のページ]
戻る   Point(2)