虚明/木立 悟
 





光は動き
樹は見つめる
はざまの前に立っている夜
はざまは風になってゆく


双子の夜の片方が
先に朝を知ったので
昼はななめ
夕はななめ


光が変える絵
とどまらぬ声
ななめをななめに
受けとめる指


霧の道に立つ
透るひとり
音は川をゆく
残るひとり


ことりことり
晴れた日の
誰も居ぬはずの
家の裏から


何も無さが
何も無さを去り
はざまはひとつ
夜の手に鳴る


























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