季節ごとに近しくなるものもの/吉田ぐんじょう
 
(春)

伝線したストッキング、国語辞書、スケッチブック、埃、先のまるまった鉛筆、花柄の布団カバー、キオスク、アルミフォイル、たまごサンド、青い軽自動車、浴室のタイル、制服、文房具屋、バス停、スーパーのレジの人のピンクのマニキュア、そらまめ、上野動物園、人家の隙間からとろとろ流れ出てくるカレーのにおい、闇の向こうに立って手招きしている桜、

(夏)

ゴム長靴、西武百貨店、無数の二の腕、ビニール傘、風呂上がりの濡れたくるぶし、ルーズリーフ、ゴールデンレトリバー、バターデニッシュ、プラスチックの釦、深夜の信号、レースのカーテン、サーカス、大量の海月、ドラッグストア、階段、マクドナルドで喧
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