思いの隅で/番田
お金の無い私は家路を去る。世界に存在することのないため息を繰り返している原宿を、哲学すら無く歩かされているのかもしれない。友達に取りざたされたセリフでバーゲンセールを信じてさまよい続ける、ただただ貧乏な私がいた。ホームをたどって電車に乗る。電車は郊外へと流されていく。線路になびいている緑の草花をより分けながら、金色のススキを走り去っていった。そうして、遠くには霞んでいる山小屋が現れた。緑の林のそそりたつ山の奥で、狐たちもさまよい歩いていることだろう。自らに、金色の毛並みをイメージしながら。
そうして私は、海の青さに座りこんでいる。ソファーにうずくまっていると、窓からの思いを運んでくる風に、思
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