愛の国境線/藪木二郎
 

 だってそうだろ
 高嶺の花を前にした時
 美人屁もすりゃ糞もするってゆうのは
 合理化
 っていうか
 まあ手が届かなかったリンゴを見上げて
 あれはどうせ酸っぱかったんだよ
 っていうような
 そんな面があるとはいっても
 まあそれでも
 彼我の間に
 存在のレベルに関わるような線引きは
 まあしないわけで
 で
 実は僕もペシミストだったわけだけど
 ウヒョヒョッ
 っていうのはまあ
 失望感だったわけではなくて

 そのあと彼女はベッドで
 うつ伏せんなって
 まあ普通に
 通販のカタログかなんか眺めてたんだけど
 そしてそのあとがかえってまた
 ってなことも
 あったりしたわけなんだけど

 今朝も彼女
 出掛けに済ませていったようなんだけど
 まあ僕も
 寝起きにはすることがあるわけで
 そんでまたウヒョヒョッ
 ってことになりそうな滞在時間
 だったわけだけど

 なんだか深呼吸
 でもしちまいそうな感じの
 そんな僕なのだった
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