触れたい雨/小原あき
雨が降ると
窓を閉めてしまうわたしは
泣き虫を人に押しつける
晴れの日なんて
家中の窓を開けて
外と中の境を無くして
鼻歌なんか歌ったりして
それがまた
となりのトトロだったりする
の、くせに
雨が降ると
あわてて窓を閉める
トイレの小さな窓だって
鍵を掛けるくらい
ああ、神様ゆるしてください
わたしは泣き虫
あの人はいつでも
窓を閉めたりなんかしません
毛布をそっと
かけてくれます
虹が出ると
喜んで
写真なんか撮るくせに
雨には見向きもしません
わたしの視線は
いつも本のうえ
わたしは
あの人の雨を知らない
雷なんて知らない
わたしの雨を
傘もささずに
一緒に歩いてくれる
あの人の雨を
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