連れていけ/葛西曹達
 
めまぐるしい流れの中
歪んで見える景色
傾いていたのは
僕のほうだった

重力はいつでも
僕をこの堅い地面に
縛りつけて離さず
飛ぶなんて到底叶わず

掃き溜めのような
淀みきった鈍色の空
置いていかれそうでも
止まることは許されない

吐き気のする陽気の中
脳内に雑音は充ちるばかり
壊れていたのは
僕のほうだった

引力はいつでも
淋しさを引き寄せ
温かさがわからず
喜び方なんて知らず

体の動きを制す
冷えきった外の空気
春を待ってるだけじゃ
熱を帯びることはない

荷物さえなければ
雨に濡れる準備は
いつでもできているのに
なかなかその機会もない

崩れ落ちそうでも
必死に保つ均衡
身体の重心はいつでも
心の外にあった

目を瞑り見える景色
無数の星と暗闇
今にも倒れそうでも
消えることは許されない

連れていけ
銀河の渦の中心へ
誰にも干渉されぬ場所が
あるとすれば そこだ
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