『実家』/東雲 李葉
どの名字を言えばいいのか迷っているうちに電話はぶつっと切れてしまって、
あたし結婚してないんだから同じじゃんって呑気に笑ってみたりした。
乾燥機では母親の首が回っている。
ごろんごろんと不愉快にぶつかっては口を曲げて。
父はまだ働いている気でいるようで。
もう繋がらない携帯電話を片手に時代遅れのワープロを打つ。
弟、は。
湿った畳を踏みしめる。骨の軋む音がする。
頭のない体がてきぱき晩ご飯の支度をする。
「玉葱が目にしみないわ」と、
その声がどこから出ているのか、聞いてはいけない気がして。
「それはよかったね」と、
大人しくじゃが芋の皮剥きを手伝った。
食器を並べてス
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