書物の家/ベンジャミン
 
っそう私は
懸命になるのが望ましいのでしょうが
言葉というものは生きていますから
するりするりと逃げてゆくのには
もうすっかり慣れてしまいました
せまい家の中での
まるで追いかけっこや鬼ごっこ
はたまたかくれんぼのようです
もういいかい?
(まーだだよ)
もういいかい?
(まーだだよ)
そんな幻聴が聞こえてきたら危ないので
あまり窮屈に考えないようにしていますが
なにせ鉛筆やらペンをにぎったら
私はまるで人格が変わったように
終わるはずもない終わりを求めて
いっこうに書くことを止めませんから
まだ見ぬ言葉を書き集めようと
家の中にドンと敷いた布団の中で
そんなことを繰り返しています}
 
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