機内から/番田 
 

電車に乗れば世界が自分を流れていく。田舎では整備工場の原色の看板が、都会は灰色のビルや貯水用のタンクの大きな化け物が流れていったりもしていた。季節をゆらぐ世界はいつもそこにあり、ファッションとしてそれを身に装ったおばさんたちも流れていった。英国調や、フランス調な願望を見せていたりしたものだった、地味な服に、ガチャガチャをやったことのある駄菓子屋の黄土色のテントの屋根を思い出した。

成田空港のロビーに旅立つ人を見た。インドやヨーロッパに旅立とうとしている動きやすそうなシャツを着こんだ人たちに、デッキの景色には果てしないコンクリートの地面が広がっている。乗り継ぎのインチョン空港では韓国の女性
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