ふうもんの日時計/たりぽん(大理 奔)
朝焼けの練色が射し込む砂丘に
一人立ち尽くすと僕は日時計になるのです
河口の方向に伸びる長さで季節を知ると
はき出す息の色が
まっくろな海のうえに
浮かぶのです
明日、がどこかではないことで
風景がかすんでしまいます
すべてが鮮やかに
切り取られすぎるから
ぼんやりとしたものが懐かしく
思えるのでしょうか
声が聞こえます
遠くで聖神社の御輿が揺られて
小さな漁船の形をした屋台が
その後をついてゆくのです
どこかにたどり着くためではなく
循環する暦に漕ぎ出すのです
僕は風紋を文字盤に刻みます
だから、あやふやな時間たちは
風に運ばれてしまうのです
そして同じ時は刻まれないのでしょう
それでも、出港の季節のかげの長さなのです
漕ぎ出しましょう、まっくろな海に
ぼんやりとしたそらを
槍鉋のような波頭でそぎ落として
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