夏の現実/番田
考えもしないまま外に出かけると、軒先にそのまま戻ってきた。私だけが孤独な人間なのかも知れないと思った。ああ楽しめることなどないのだろう。憂鬱なのだと思いこまされている道を仰げば、日曜日は人が行き交っている。子供の群れが角から出てきて、とてつもなく、楽しげだ。独身である身としては、何一つかけようとする優しみのある言葉などないけれども、ぼんやりとただ歩いていった。池のところでは静かにボートを漕いでいる人が何かとてつもなく輝いて見えた。緑色の草が揺れていて、このあたりでも子供がはしゃぎ回っていて、こんな手をしていてもつなぎたかったものだった。気温が変わるにつれて人の服装は変わっていく。日曜日の誰もがTシ
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