夜舟/
杳
あたし
もうわすれはじめている
あなたのこと
おもいだすのは
決まって夜の淵
塞げないままの場所
まだひんやりとして
居心地がいいの?
とうになくしたゆびを
いたずらにほしがって
あたしはまぼろしを
かさねすぎたようです
なにひとつ
かたちはないけれど
喩えばあたしは
夜の淵を漕いでいます
ここはひんやりとして
居心地がいいの
手紙は途中までも
書き切れずに
唯一の形となりました
戻る
編
削
Point
(1)