かえるのうた/八男(はちおとこ)
道を歩いていて 石を踏んだ
ケロケロと音がした
石の下には蛙はいない
私の靴下の中にも蛙はいない
未だケロケロと屁をこいたこともない
が
ケロケロと
石か
やはり石が鳴いたのか
やっぱりこれが蛙なんだ
いままで決めつけてた
ぴょんぴょん飛び跳ねるアレは馬で
石と決めつけていたものが蛙なんだ
それで馬のアレはソビエト連邦だ
私は豆電球で
換気扇はオリックスのカブレラだ
利き腕は新幹線で
君が流した涙は牛若丸だ
三日月は鎮魂歌で
味噌汁は噴水だ
それから
蛙が
ケロケロと
隣に住んでいる人の部屋の
目覚まし時計みたいに
鳴き止まない
誰かはやく押してほしい
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