不成仏霊、今日も見果てぬ河岸を/ホロウ・シカエルボク
 

なにかが息をひそめて
脳髄の暗がりで
いかさまな計画を練ってる
刻々と過ぎてゆく時間
連続する健忘症が
まともに錯覚させてるみたいで
伸ばした脚の指先のあたりから
身体の実感がこっそり逃げ出してゆく
寝惚けて過ぎた日曜
音楽の歴史だけが
カーペットの上に薄く積み上がる
それは俺のようで
まるで俺じゃない何か
さあてね
診断を始めましょうか
手を胸にあててください
心臓が動いているのが判りますか
それはご自分の心臓ですか?
さあ
判りません
ご自分というのはなんですか
それは
俺の名前がついているこの身体です
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