行灯/たもつ
 
葉をかけるものだ、と
兄が言うので
車検証に書かれていた文言を朗読した
最後に行灯だけが地面から出て
まるでお墓のようになった
とても可愛そうなことのような感じがして
相談した結果やはりすべて埋めることにした

せっかく兄弟そろったのだから
何か二人でできる遊びをしよう、と兄が言い
ぼくらは二人でできる遊びを探し
深夜になるまでずっと遊び続けた
テレビをつけるとちょうど
その日の放送が終わるところだった
今日の朝はほんの少し世界が優しくなっているでしょう
最後にアナウンサーが告げた
日々あふれる優しさにはうんざりしているけれど
それでも世界は
優しい方が良い気がした
 
 
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