青木龍一郎が動物園にやってきた/青木龍一郎
ないだろうか。
そうだ、その通りだ。手と手では人間同士のやりとりと変わらんからな」
「いや、だって僕、人ですし…」
「今はそんなことどうでもいいじゃないか龍一郎君。マジで…君が動物か人間かなんて…どうでもいいんだよ…」
「それもそうですね」
「じゃあ、ちょっとエサを口で受け取ってみてくれないか」
園長は、今度は生のニンジンをこちらに差し出してきた。
僕は檻の隙間から必死に顔を出し、ニンジンを咥えようとした。
「アーアー」と声が出る。
園長は僕の口にニンジンを押し込む。
大きめにカットされたそれを必死に咥えようとすると口からちょろちょろとよだれが流れる。
よだれが園長の手
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