armoire caprice/渡 ひろこ
ら
(赤い痣が疼く
剥き出しの苛立ちがピンポイントで襲ってくる
陰鬱なトゲを刺すネットの中でもがいて
嵌まってしまったスパイラルの出口はどこか)
身体中に咲いた赤が褪せたとき
森のアザミがそっと教えてくれた
クローゼットの扉は開いている
閉じられないうちに仕舞って
アーモワールカプリス
風向きが変わらないうちに
素肌の痣が消えたころ
隠れた小道が現れた
森の出口へと足早に急ぐ後ろ姿を
ティアラを呑んだクローゼットが
息を殺してじっと見つめる
※arnoire caprice (アーモワールカプリス)仏語で気まぐれなクローゼット
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