JOY/ホロウ・シカエルボク
は居るのだろうか―?ああ、混乱って静かだ…本当はすでにお前は出て行ってしまっていて、俺の中に住んでいるお前だけがここで煙草を吹かしているのではないだろうか?いまお前をこの部屋に置き去りにして、隣室のドアをノックしたら、涙で目を腫らした若い女が鼻を啜りながらドアを少しだけ開けたりするだろうか…?
クリスタルガラスの向こうで二五時の世界が静かに崩れ落ちて、粉塵が舞って…それがなくなるとあとにはなくなったったという静寂だけが残る、ないという感じだけがそこにある、それは伝わり方を間違ったジョークみたいに思える―受け止めたものの処理をしあぐねて天井を見続けている、灰皿で燻っていた煙草が最後に吐いた煙が、誰かの未練を語るみたいに電燈の脇で大きくカーブして、それから薄れてゆく。
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