あたらしい世界/昏(ヤッカ)
あいつらはもしかしたら
きみが鳥に見えたのかもしれないよ。
とてもあの日きみは自由だったから。
あたらしい世界は
きみがまぶしそうに太陽を覗く指の
すきまから生まれたんだ。
それは
ほとんど忘れる僕が覚えていて
ほとんど覚えているきみが忘れていることで
そしてとても大切なことだ。
いまもその世界は
無実のきみがメロディを考えているときや
きみの赤いサボテンがいびつな針をおとした夜に
広がりつづけている。
遠いスプートニクは灰になって
推定幸福の日々を抜けて
想い出をもやしながら
きみはすきとおるための歌を歌う。
空っぽなんだ。
このあたらしい世界は。
その歌がよく響くように
いまのきみでも高くとべるように
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