あたらしい世界/昏(ヤッカ)
 


あいつらはもしかしたら
きみが鳥に見えたのかもしれないよ。
とてもあの日きみは自由だったから。

あたらしい世界は
きみがまぶしそうに太陽を覗く指の
すきまから生まれたんだ。

それは
ほとんど忘れる僕が覚えていて
ほとんど覚えているきみが忘れていることで
そしてとても大切なことだ。

いまもその世界は
無実のきみがメロディを考えているときや
きみの赤いサボテンがいびつな針をおとした夜に
広がりつづけている。


遠いスプートニクは灰になって
推定幸福の日々を抜けて
想い出をもやしながら
きみはすきとおるための歌を歌う。

空っぽなんだ。
このあたらしい世界は。

その歌がよく響くように
いまのきみでも高くとべるように



戻る   Point(3)