つぶやく春を/石瀬琳々
風すこしあかるい街の片隅で Cover me またつぶやく春を
なみだ涙こぼれてもいい胸濡らしそこにたまれば空を映そう
雨の朝、こぼれる雫受けかねてただごめんねと呟いてみる
目隠しでくちづけられる水中花君と溺れる春の水槽
春の日をもとめる指に光あれ揺られて静か水仙香る
うすあおいガラスのような四月の日うそ鳥になりナキマネする日
あめ雨雨、とめどなく窓打つまひる辿る指さき痛みだけ知る
桜さくら、目の中に咲く夢に咲くいつかどこかで見たような春
遠き日を汽笛を風を寄せ返す海の響きを一人待つ道
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