さよならリバース、またこんど/15フィールズ
産声が「こわしてください」だったら救われただろうかとか考える若い午後
台所で僕はカフェオレを飲んでいる、また何か考えている、言葉が疲弊していくのもしかたない、今までもだいぶ酷使してきた、リビングにあるテレビから訳の分からない音、まあ彼らよりは酷使していない
つめたい風に翻るカーテン、現実チラリズム、いやん、この言葉を思いついてまだ僕は死んでいないなと実感する
垣間見えた世界は曖昧な音量を色とりどりに表現したインジケーターみたいで、何だかロックを聞きたくなった、久しぶりに、ほんの少しだけ、甘えるように
景色と音の遮断、或いはチラリズムの崩壊、もしくは僕の瓦解
産声がなければ世界は終わり始めることはなかっただろうかと考える、いや、無言で出てきたらなんか嫌だ、シュールだ、もしくは新手の聖人だ、赤ちゃん詐欺だ、ごにょごにょ
カフェオレを一口飲む、少しだけ苦いけど、後はやさしく協調してくれる
やがて思考がクリアになる、だから考えることは何もない、光の切れ端を掴んだあとの、ほんなわずかな幸福の時間
戻る 編 削 Point(1)