夏の雲/
たもつ
卵に言葉を教えた
教えた言葉を
卵はすべて覚えたけれど
口がなかったので
話をすることはなかった
雲が形を変えながら
夏の空に消えていく
わたしが生まれてから
何度も見たその光景を
卵はざらざらとした
白い殻の表面で
ただ眺めている
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