木陰の花 /服部 剛
 
一輪の花を愛でるのは、いいことだ。 
五月の風に身を揺らし 
花はハミング、するだろう。 

一輪の花に寄りかかりすぎては、いけない。 
細い緑の茎が儚くも 
折れてしまうことの、ないように。 

私は大きな樹木に、なれるだろうか・・・ 
君という小さな花が、憩えるような 
木陰を地面に広げようと 
幹の表皮に隠れた顔で 
じっと黙り、唇を噛み  
無数の根を、土の深くに張り巡らせよ・・・! 

五月の風に若葉等は囁いて 
樹木はハミング、するだろう 
足元の木陰の花も身を揺らし 
ふたりはハミング、するだろう 







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