いちばんたいせつな/唐草フウ
 

ゆびでそっとふれる
ふかふかしたものが
やがてしぼんで
くたびれて横たわる
むなしさをむねにしまう
かなしさを昇華する

 垂直にいきたものは
ささえあってこそでしょう
あなたの誕生日があった四月を
           忙しさでふきとってしまっていた

つんでつんで集めた 
庭のあたたかさを
水のなかに納めて
こらえ方も知れずゆれている
水のなかで弔って
引き上げて
それをまた垂直に
寝かせたまま それぞれを恋しくも思わず
 次の色を広げるでしょう
この手で捨てはらう

わたしはわがままに、このとまり目に 伝える
どうか流してほしい 流れてほしい
そんなにたいせつなことではないから
同じように眠っている




戻る   Point(8)