こころ そらの/AB(なかほど)
 
  

空を見上げたあなたを覚えている

強いひとになりなさい
と言われたことがある
そのときのあなたは泣いていた
いつしか同じことを僕が言っている
気づくと僕は泣いてはいない
あなたのほうがずっと
ずっと強いひとだったと
いまさらのことのように思う


市場や病院の帰りの
アイスクリームはごちそうでした
お父さんやお兄さんには内緒でした
手をつないでくれました
道端の草で
お守りを作ってくれました
それから
青空を見上げたあなたへ
ひこうき雲の行く先を何度か問いました
ついに本当のことは
教えてくれませんでした


ひとは助け合うもので

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